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美味しさには理由があります |
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珈琲について知識が深まっていくと、今までにも増して、
より美味しく味わうことができるものです。
美味しさの向こう側に見え隠れする様々なストーリーを
ご紹介します。
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コラム |
カテゴリ |
更新日 |
Vol.4 珈琲、そして、お砂糖とクリーム 「その1」 |
珈琲コラム |
2009/11/05 |
今回は、珈琲の味が時間経過とともにどのように変化していくのか ━変化というよりも、むしろ味の移ろいと表現したほうが適切かもしれません━ 、 そして、珈琲に添えられるお砂糖とクリームは味にどのように作用するのかといった テーマについてお話をしてみたいと思います。
ブラック、お砂糖だけ入れる、クリームだけ入れる、或いは両方とも入れる、飲み方は 人それぞれです。 良質の生豆に最適の焙煎をし、優れた技術で抽出された珈琲であれば、 どのように飲んでも美味しいことでしょう。 ここで注目していただきたいことは、珈琲の味は時間経過とともに微妙に表情が 変化していくということです。 具体的に申しますと、次第に苦味、酸味のカドが取れ、味の輪郭が丸みを帯び、 そして、濃度、甘味が増してくるように感じられます。 珈琲がこのような味の移ろいを見せる要因として、ふたつのことが考えられます。 ひとつめは、珈琲の温度が下がりながら空気に触れることによって味が穏やかになって くるのではないかということです。 珈琲の味を構成する苦味、酸味などが段々落ち着いてくるとともに、奥に潜んでいた 甘味成分が、ぐっと頭をもたげてくるように思われます。 ふたつめは、珈琲の美味しさの元となる重要な味覚成分が、その比重が大きいことにより、 カップのより下方部分に沈殿していくことが影響しているのではないかということです。 例えば、1杯100ccの珈琲を2杯分200cc抽出するとします。 晏煎では、銘柄にもよりますが、2杯分であれば5分ほどの時間をかけて抽出します。 抽出後、抽出容器内のコーヒー液を撹拌せずに注ぎ分けた場合、1杯目と2杯目とでは 明らかに味が違ったものになります。 2杯目の方(後から注いだもの)は濃厚に感じられますが、1杯目の方 (先に注いだもの)はどこか水っぽい印象を受け、旨みにも乏しいものとなります。 5分ほどの時間をかけて抽出している間に、主に抽出初期段階において抽出された 珈琲のエッセンスと呼ばれる美味しさの核となるような成分は比重が大きいため、 容器内に沈殿した状態を保っています。 従いまして、容器内のコーヒー液を撹拌してから注ぎ分けなければ、ふたつのカップの 珈琲は同じ味にはならないのです。
このことからお分かりいただけますように、カップ内の珈琲は、甘味を感じさせる珈琲の エッセンス成分がカップの底部分に潜んでいますので、時間経過とともに甘味をより 強く感じる部分を味わうことになります。 そのため、飲み始めよりもしばらく時間が経ってからのほうが甘味を強く感じるのでは ないかと思われるのです。
珈琲をお客様にご提供後、一口含んですぐにお砂糖、クリームを入れる方もおられますが、 それはちょっと早計。 3分ほど待っていただきますと味が落ち着き、最初の印象とは随分違った味わいを 楽しむことが出来ます。
メニューに掲載した珈琲は全て、当然のことながらブラックで飲んで美味しいもの ばかりですが、お砂糖とクリームは次のような使い方が望ましいのではないでしょうか。 お砂糖は苦味を、クリーム(乳製品)は酸味を和らげる効果をそれぞれ有しています。 このことをご理解いただいた上でご提案するならば、まずはブラックで味わう。 そして、しばらく時間が経っても、まだ苦味が強いと感じたらお砂糖を加える、 そうしますと、隠れていた酸味が顔を覗かせます。そのときにクリームを足す、 そんな楽しみ方も一興です。 しかしながら、珈琲だけが持つ苦味の奥深さ、その苦味にそっと寄り添うように 控えめに佇む酸味、それらの向こう側から手招きするような極上の甘味をブラックで 飲んで楽しんでいただければ、無上の喜びです。 |
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