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美味しさには理由があります |
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珈琲について知識が深まっていくと、今までにも増して、
より美味しく味わうことができるものです。
美味しさの向こう側に見え隠れする様々なストーリーを
ご紹介します。
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コラム |
カテゴリ |
更新日 |
Vol.2 Specialty Coffee |
珈琲コラム |
2009/11/05 |
「スペシャルティ コーヒー」なる言葉を耳にされたことがあるでしょうか。 これは、アメリカ主導で巻き起こった動きで、生豆に対するひとつの考え方です。 簡単に申しますと、コロンビア産の珈琲豆、という大雑把な言い方ではなく、コロンビアの どの地方の何という農園で誰によって栽培されたのか、そして、肥料はどんなものを 使っているのか、無農薬なのかどうなのか、また、苗木はどの種類を植えているのか、 更には、コンテストに出品したものであるなら何位に入賞したものなのか、といった具合に、 現在の食の流通においてよく聞かれるようになったトレイサビリティがしっかりしているものか どうかが問われているのではないかと思われます。 そして、このような珈琲こそが品質的に優れており、Specialty Coffeeと呼ぶに 相応しいものであると考えられています。 従って、珈琲店のメニューにも、「コロンビア」ではなく、 「コロンビア スプレモ ナリーニョ エスペシャル」 といった表記がされるようになるわけです。 この場合、「スプレモ」は粒が大きいものであることを、「ナリーニョ」は産出される地方の名を、 「エスペシャル」はスペシャル、特別な規格で作られた珈琲豆であることを表しています。 ここで今一度確認しておきたいことがあります。珈琲は生産国で収穫後、精製・袋詰め・ 船積み・輸出といったプロセスを経て消費国に輸入された後、生豆業者から我々焙煎業者が 買い付け、ハンドピック、焙煎を行い、そして、一般消費者のかたがたが珈琲豆を購入する、 このような流通経路を辿ります。 我々、焙煎業者が品質の優れた生豆を買い付けて焙煎をするのですが、もし、焙煎技術が 稚拙なものであったなら、せっかくの良質の生豆も台無しです。結果として粗悪な焙煎豆が 出来上がってしまいます。 また、良質の生豆に素晴らしい焙煎がなされた珈琲豆であっても、それが高い室温の中に 放置されていれば、どんどん品質は劣化していきますし、お客様が100g、200gと 買ってくださるときに「挽いてください」と言われた瞬間、珈琲豆は酸化し始めます。 言うまでもなく、珈琲は豆のまま買い求めなければいけません。 つまり、生豆→ハンドピック→焙煎→ハンドピック→保存→粉砕→抽出→飲用、 この流れの中で、どれかひとつの要素でもレベルの低いものが存在したなら、 提供される珈琲に美味しさを感じることは出来ないのです。 たとえ生豆がスペシャルティ コーヒーと呼ばれるものであったとしても、提供されるまでの 作業の内容いかんによってはお粗末な珈琲に成り下がってしまうというわけです。
現代のような情報社会においては、一般の方々でもプロと同じような知識を得ることは いとも簡単です。 今までにもプロ顔負けの情報、知識をお持ちのお客様とお話をしたことが何度もあります。 私が危惧することは、スペシャルティ コーヒーでなければ珈琲ではないという考え方に 陥ってしまう方がプロ、アマを問わず増えているということです。 そうではなく、ひたすら修練することによって獲得した、味に対する自らの判断基準を信じ、 目の前の生豆と真正面から向き合い、珈琲の持ち味を余すことなく引き出してやるような 焙煎、抽出をしている店、店主こそがSpecialtyではないかと思うのです。
スペシャルティ コーヒーというものに私は余り興味はありません。 どこの農園で誰が栽培しようと、コンテストで優勝した農園の豆であろうと、それは私以外の 人が評価したものであって、私の基準からは外れることも当然あり得るのです。
流石はスペシャルティ コーヒー、という豆に出会えることもありますが、それほどでもないな、 という場合もあります。(誤解を招くことのないよう申し上げておきますが、私の判断が 絶対であるというわけでは決してなく、あくまでも好みの違いによるものです) 仕入れの基準はあくまでも自分の舌です。 生豆業者からサンプルをいただき、まず少量だけ焙煎してみる、そして、美味しければ 買い付けるようにしています。 美味しいと思った珈琲だけを焙煎して店頭でお客様にご紹介するのです。
飲んだ人が美味しいと思った珈琲、それこそがその人にとっての特別な一杯ではないでしょうか。 |
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